2008.11.15 No.015号 杭州書記の「不動産救済発言」に見る中国経済の脆さ(1/2)
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2008.11.15 No.015号
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杭州書記の「不動産救済発言」に見る中国経済の脆さ(1/2)
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不動産バブル崩壊が加速してきている中、
中国の多数の地方政府がいっせいに「不動産市場救済策」
を打ち出したことは前回のレポートが報告した通りであるが、
実はそれにたいして、
国内の一部メディアや専門家からは批判の声も上がっている。
一般市民の税金を使って特定の業界を支援するのは不公平ではないか、
という趣旨の批判だ。
そうすると、梃入れを行った政府側はさっそく反論や自己弁護を行った。
たとえば、
24項目にもわたる「救済政策」を発表したばかりの浙江省杭州市では、
市政の実質上の最高権力者である
共産党杭州市委員会書記の王国平氏の行った反論は、
その最たる例である。
浙江省政府開設の公式サイトである「浙江オンライン」が
2008年10月23日に配信した記事によると、
王国平書記は22日に開かれた政府関係の会議上、
「不動産市場を救済するというのは、けっして不動産業者を救うためではない。
それは経済を救うためであり、銀行を救うためであり、市民を救うためである」
と発言して、杭州市の「不動産市場救済策」の正当性を強く主張したという。
以下は、記事で紹介された彼の発言内容の抜粋である。
「現在、杭州市では88%の家庭はすでに住宅を所有しており、
個人の借りた住宅ローンは1077億元にも達している。
杭州の不動産価格は一旦大幅に下落してしまうと、
それらの家庭の持つ財産は大きく縮み、一部の家庭は完全の負債者になってしまう。
そうすると、多くの人々はローンを払えなくなり、
銀行は潰れてしまうような事態も生じてくるかもしれない」。
「不動産産業は杭州の支柱産業である。
多くの関連産業の成長を引っ張っていくという牽引車の役割を果たしている。
もし杭州の不動産業価格は大きく落ちていれば、
不動産投資の大幅な減少は避けられないが、
建築・建材・家電・デザイン・内装・広告・飲食などの一連の産業は
その巻き添えを食って冷え込むのであろう。
その結果、経済が衰退して失業が拡大し、市民全員の生活は苦しくなるのである。」。
「不動産業が衰退すると、土地使用権譲渡の相場も大きく落ちるから、
土地譲渡によって得られる政府の財政収入は大幅に減少するだろう。
そうすると、公共サービスの質と量が落ち、社会保障と
福祉の充実のための財源も枯渇し、市民の生活に大きいな影響を及ぼしかねない」。
以上は、杭州市の王国平書記は
市の「不動産救済策」の正当性とその緊要性を力説するために
羅列した三つの理由である。
要するに、一旦不動産価格は大きく下落でもすれば
(すなわち不動産バブルが崩壊するようなこととなれば)、
不良債権の大量発生による銀行の崩壊、
「支柱産業」の衰退による一連の関連産業の冷え込みと失業の拡大、
そして地方政府の財政収入の大幅な減少
という三つの大問題がいっせいに発生してしまう。
(2/2)につづく。
( 石 平 )
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