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2008.10.27 No.012号 中国政府の「景気梃入れ策」とその限界( 1/2 )

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2008.10.27 No.012号
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?誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考?

石平(せきへい)のチャイナウォッチ

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  中国政府の「景気梃入れ策」とその限界( 1/2 )
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中国政府は10月21日と22日の二日連続で、
かなり思い切った「景気梃入れ策」を発表した。

まず21日に、財政部・国家税務総局は
一部製品の輸出税還付の比率を引き上げると発表した。
対象製品は3486品目にわたり、関税対象製品の25.6%に相当する。
その狙いは当然、国内の輸出向け企業のコスト低減にある。

その翌日の22日、中国政府は今度は、
個人の住宅購入に対して減免税や金融面で
大幅な優遇措置を適用すると発表した。

個人が1軒目の住宅を購入する場合、
90平方メートル以下の物件ではこれまで地方により
3?5%だった契約税を11月1日から全国統一で1%に引き下げるほか、
第1回返済額の下限は従来の30%から20%に引き下げる、
という内容である。

個人の不動産購買意欲を刺激しようとするのはその狙いとは言うまでもない。

こうした「景気梃入れ策」の発表は当然、
最近における中国経済成長の減速を背景とするものである。
10月20日に行われた中国国家統計局の発表では、
2008年7?9月期の国内総生産(GDP)速報値の実質伸び率は
前年同期比9・0%で、05年の10?12月期以来の1けた成長となったが、
それは今年上半期の10%台の成長率から約1ポイント下落した計算で、
景気の急減速が一層顕著になったことを示した。

この暗澹たる発表の翌日から、
中国政府は間髪も入れずにして
上述の二つの景気梃入れ策を打ち出したわけである。
慌ただしいというか、素早いというか、とにかく、
中国政府の危機感は並ならぬものであることが分かる。

そして、成長減速の数値発表の翌日から、
中国政府はさっそく上述の二つの景気梃入れ策を打ち出したことからは、
成長減速の原因は一体どこにあるのかがよく分かってくるものである。

つまり、輸出の業績不振と不動産市場の低迷が
成長を減速させた最大の「元凶」だからこそ、
輸出の増大と不動産市場の活気化を図るための対応策が講じられた、

ということである。(2/2へ続く)

( 石 平 )

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◆◆  石平(せきへい)のチャイナウォッチ   2008.10.27 No.012号

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